やっと蔦が青くなりはじめたのに。 オレンジは中庭の木にきれいな色をして実をつけているのに 青い小さな花は駐車場一面に咲き乱れているのに 土の薫りは今でも風と渦巻いているのに
気持ちは散乱している
街は茫然としている
お休みの日の朝11時ごろ渋谷から青山のほうへ歩いてみた。なじみのキャットストリートを越えフレッシュネスでスイートポテトを食み寝不足の目を擦り、立ち止まったそこにはあの頃の代官山と同じように白い障壁に囲まれた原宿の同潤会アパートが見えた。
この日が来る事に目を塞いで、随分たったけれどもその日は確実に来る事を見せ付けられた。
写真を撮る多くの若者やお年寄り。Kanaもなんとなくシャッターは切ったけれども、
それがなんになるのだろうと、その日一日考えた。
最初のIXYが出た頃大雪の青山を撮りに行ったことがある。あの写真は何処に行ったのかな。なんてことをふと思い出した。
表札やプレートはご丁寧に端から剥がされて、だれか関係者の方がきちんと持って行ってくれる事を祈って。
せめて蔦の葉一枚でも欲しかったと今になると思うのです。
なんだか、ここのところブームで辟易していた感もあったのだけれども改めてKanaはこのアパートを愛していたのだとつくづく感じたのでした。
愛しているなんて言葉あんまり使わなくなったけれども。
青山写真02夏
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