AGAIN 『会議は踊る』


ものがたり

1800年代初頭、ウィーン会議出席の為、ロシア皇帝がウィーンに到着。
その際のパレード中に、皇帝の馬車に一つの花束が投げつけられた。
過激派のテロ爆弾かと色めきたつ宰相やオーストリア首脳陣に、
「もう花束で歓迎してくれた人がいる」と何事もなかったかのように
涼しい顔で現れたアレクサンドル一世。

パレードも終り、貴賓室に戻った皇帝に宰相の秘書と名乗る青年フランツが
目通りを願い出でる。フランツは花束を投げつけたのはウィーンの手袋屋の娘で
自分の知合いであり、彼女は逮捕され、このままでは投獄されてしまうので、
陛下の恩赦をお願いしたいのですと懇願する。
皇帝は犯人が若くて美しい娘だと聞き、大いに興味を示した。

簡易裁判所では、クリステルに鞭打ちの刑が言い渡されていた。
泣きながら抵抗するクリステルに鞭が振りおろされようとした瞬間、
ロシア皇帝の特赦状を持ったロシアの下士官が現れた。
実はこの下士官、アレクサンドル皇帝の変装。
でも、そうとは知らないクリステルはロシア皇帝の副官、サーシャ・モレンスキー 伍長
と名乗る凛々しい青年士官に感謝し、彼をウィーンの下町の酒場へ案内する。

酒場で楽しく語合うサーシャとクリステル。
酒場の歌手にやろうとサーシャが出したロシアの金貨に彫られた
皇帝の横顔と彼がうりふたつなのでクリステルはびっくりする。
サーシャは慌てて、自分は皇帝の影武者なんだと咄嗟にウソをつき、
今までに何度も命を落としかけていると言う。
クリステルは同情して、そんな仕事はやめてるべきだと言った。
そして、「皇帝にサヨナラする時に皇帝の手袋を持ってきて頂戴。
その手袋の型をとって手袋を作り皇帝にプレゼントするの。
皇帝がお気に召して”ロシア皇帝御用達”の看板を下さったら
私のお店はウィーン中の評判になって大繁盛するわ。
そうすれば私たちは楽しく暮らしていけるわ!」と夢中で話す。
そんな姿を見ているうちに彼女を可愛く思ったアレクサンドルは、
クリステルを胸に抱き楽しく歌い踊るのだった。

クリステルは「ロシア皇帝アレクサンドル一世陛下御用達」
の看板をもらい、商売が大繁盛。
そこへロシア皇帝が共を連れて訪れた。
クリステルはサーシャが任務放棄のため逮捕されたと聞いて驚き、
どうか彼を許してあげてほしいと懇願する。
皇帝は、「サーシャは幸せな男だ。あなたにこれほど思われて。
私とサーシャはよく似ている。私にもその好意をわけてほしい」
とクリステルを誘うが、「あなたは世界を治める君主かも
しれないけれど、その権力も愛の上には及ばないわ」と拒絶される。
君主としてのプライドを傷つけられた皇帝は、自分の力でクリステルの愛を
サーシャからロシア皇帝へ変えてみせると決意する。

会議場では各国の代表が集まり、会議が開催されようとしているが、
今日もロシア皇帝の姿がない。
各国代表は勝手な主張ばかり繰り返し宴会や舞踏会に明け暮れ、一向に
会議は進んでいない。活発に飛び交うのは裏面工作や裏での駆け引きばかり・・・
アレクサンドル皇帝は会議に出席しないが、スパイを使って裏面工作を進めていた。
そこへクリステルが先日の詫びと、一目サーシャに会いたいと目通りを願い出る。
サーシャに扮したアレクサンドルは彼女にロシア皇帝の素晴らしさを語るが、
あなたは私のサーシャじゃない!と平手打ちを食わせ走り去ってしまった。
アレクサンドルは一人の娘の強さや素晴らしさに目が覚める思いだった。

フランツは、ロシア皇帝とサーシャが同一人物であると教えるが、
クリステルは信じようとしなかった。フランツは、
「今度の慈善舞踏会で皇帝は人々にキスを売るらしいから、
行ってその目で確かめてくるといい」と招待状を渡した。

宮殿では華やかに舞踏会が開かれている。
いよいよ皇帝がキスを売る時間がくると長蛇の列ができた。
ロシア皇帝は並んだ貴婦人を相手に次から次へとキスをしていく。
クリステルの番がくるとアレクサンドルはためらったが、
やがて長いキスを交わし、そのまま彼女を伴なって踊りだした。

その時、宰相の許へ伝令が緊急の知らせを持ってきた。
フランス革命勃発以来二十数年わたってヨーロッパの国際関係の均衡を
乱れさせたのち、ロシア・オーストリア等の連合軍に撃破されエルバ島に
流されたナポレオンが島を脱出しフランスに上陸したのである。
会議は中断され、各国代表は帰国しなくてはならなかった。
アレクサンドルはクリステルを連れて宮殿の庭へ行き、別れを告げる。

「サーシャは私がそうなりたいと思い描いている男だ。
だが、世界を動かす力を与えてくれる重い王冠を誇りに思っている」
ロシア皇帝であり、サーシャでもあるアレクサンドルの言葉に
涙をこらえるクリステル。
一緒にはいられないと分かっているのに聞いてしまう。
今度はいつ会えるの?あした・・・あさって?
さあ、分からない。
お待ちしています、いつまでも・・・

クリステルの言葉を胸に、束の間の恋に終止符をうち
皇帝は迎えの馬車に乗り込むのだった。



1度しか観ていない公演なのに、どうしても忘れられない作品。
失礼ながら、特に大好きだぁ〜という生徒さんはいなかったんですけど(苦笑)。
細々したところまでは憶えていないのに忘れられない。もう1度観たい。
きっとね、作品の内容がしっかりしていたのと、音楽も耳慣れた有名な曲が
あったりしたからかもしれないなぁ。
♪ただ一度の♪や♪ブーケ・ダムール♪は宝塚でも
何度も歌われていますしね。全体的にワルツも多かったかな。

ここ数年、再演が続いているのに何故この作品が上演されないのか不思議でね。
あまりバーゲンされちゃぁ、良い作品も飽きてウンザリしちゃうけど・・・
最近、こんなおとぎばなし風な作品の上演が少ないんで、
是非とも観たいんですけどねぇ。ちょっとラストは悲しいけど・・・

どの組でっていう希望は特にないんだけど、いや、もちろん、
わたるくんで観たい気持ちはありますが、現在の雰囲気のわたるくんなら
メッテルニヒがいいのかなぁ?って気がするんですよ・・・
それにまだ、お嫁さんもいませんしねぇ・・・

再び観れるなら、軍服姿なんで、
やっぱりカッコ良く着こなしてくれる人がいいですよねぇ。
クリステルは一応、手袋屋の女主人らしいんですけど、可愛らしくて
元気な雰囲気を持った娘役さんに演じてほしいなぁ。
クリステルに関しては星組の渚あきちゃんが理想に近いかな。。
すごく上級生なんだけど、いつまでも可愛らしさがあるし、元気なイメージ
もあるし・・・ピッタリだと思うんだけど。
もしくは、映美くららちゃんか舞風りらちゃんって感じか?
可愛くて元気なイメージで選ぶなら・・・ね。

とにかく、どの組ででもいから、もう1度観たいっ。
それだけです。はい。


主な登場人物

アレクサンドル一世・・・ロシア皇帝
クリステル・ヒュープナー・・・ウィーンの手袋屋の女主人
クレメンツ・メッテルニヒ・・・オーストリアの宰相
フランツ・・・・・・メッテルニヒの私設秘書
エヴァ・コナルスキー伯爵夫人・・・メッテルニヒの愛人
エリザベート・・・オーストリア皇女
コズロフ・イワノヴィッチ陸軍少佐・・・ロシア皇帝副官
ミハイル大尉・・・ロシア皇帝付近衛士官
グレゴリイ中尉・・・同上

その他、手袋売りの娘やどっかのご令嬢、酒場の歌手や宰相側の人物、
ウィーン市民などです。





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