WISH 『STING』


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【 解説 】
1930年代のシカゴを舞台に、ポール・ニューマンと
ロバート・レッドフォードが中心となった詐欺師の一団が、
暗黒街のボスへ敵討ちするという、コンマンと呼ばれる
詐欺師の物語り・・・

●1973年公開
●監督:ジョージ・ロイ・ヒル
●出演
ヘンリー・ゴンドルフ・・・・・・ポール.ニューマン
       ジョニー・フッカー・・・・ロバート.レッドフォード
    ドイル・ロネガン・・・・ロバート・ショー
       スナイダー刑事・・・・・・チャールズ・ダーニング
         ルーサー・・・・・・・・・ロバート・R・ジョーンズ

●第46回アカデミー賞受賞作品
作品賞・監督賞・脚本賞・美術監督賞
編曲賞・編集賞・衣装デザイン賞の7部門受賞

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【 あらすじ 】

1936年9月 イリノイ州 ジョリエット ―
ある賭場から、売上金を運ぼうとしている男、モットーラ。
路地へ出たところで財布をすられたという声がして振り向くと、
少し年のいった男がスリらしき人物を追って現れた。
特に何もせず眺めていると、通りから一人の青年が自分のトランク
を利用して、スリにぶつけた。スリは思いがけない出来事に
スッた財布を落としてしまい、青年は財布を蹴ってスリから遠ざける。
ナイフを取り出したスリは捨て台詞を吐いて去って行った。
スリを追いかけて財布を取り戻してくれと云う被害者に、
モットーラは財布は無事だと差出す。
中身を確認する被害者。財布に大金が入っているのを知ったモットーラ
と青年は、何故そんな大金を持ち歩いているのか不思議に思った。
被害者は上納金を納めに組織へ行く途中だったと話し、
時間通りに行かなければ自分は殺されてしまうと訴える。
だが足に怪我をしてしまった彼は時間までには間に合わず、
二人のうちのどちらかに代わりに上納金を運んで欲しいと頼む。
モットーラが代わりに行く事になるが、再び襲われることもあると、
青年はハンカチに預かった上納金を包む事を提案。
どうせなら自分の財布も一緒に包んだほうがより安全だと云い、
青年は上納金とモットーラの財布を包む。
そして、こうして持っていれば大丈夫だと、自分のお腹に包みを
仕舞い込んで実演してみせ、モットーラが納得すると
包みを取りだし手渡した。
モットーラは人の良さそうな表情でその場を立ち去ると、
タクシーに乗り込み上納金を持ち逃げしたのだった。

金を騙し取ったモットーラは大笑いで包みを開けて絶句する。
上納金と売上金を包んだはずのハンカチからは、
ただの紙の束しか現れなかった・・・・

その頃、先ほどの青年とスリの被害者は共に現場をあとにしていた。
人気のない建物の影で、先ほどの包みと同じものを取り出した青年。
実はこの二人詐欺師仲間で、騙されたのはモットーラの方だったのだ。
青年の名はジョニー・フッカー、若いが度胸と名演技振りでなかなかの
詐欺師。スリの被害者を装ったのはジョニーの師匠ともいえるルーサー。
詐欺師としては一流で、その道の間では人望が厚い人物。
二人は夜に落ち合うのを確認し、別れた。

ジョニーは自分の分け前分でスーツや花を購入し、彼女のもとへ。
二人は場末の賭場へ行き、着いた早々にフッカーはルーレットで
持ち金全てを賭けてしまう。ルーラーは賭け金に上限があるというが
店の主は受けろという。もちろんフッカーに勝ち目はなかった。
ルーラーはそっとテーブルの下で細工をし、イカサマで賭場が勝った。
ルーラーはフッカーと顔見知りなのだろう、申し訳なさそうな表情で
彼を見た。フッカーは責めることなく、店を出ていった。

その頃、シカゴの運び屋モットーラが詐欺にやられたと知った
組織のボスは、早くかたを着けろと命令。
組織は二人組の詐欺師を追っていた・・・

彼女と別れたフッカーはルーサーの家へ。
そこには昼間の仕事でスリ役を演じていた男エリーもいた。
フッカーが二人の分け前を渡すと、ルーサーはこの仕事から
足を洗うと告げた。反対するフッカーをよそに、ルーサーの決意は固い。

帰り道、フッカーはスナイダー刑事に出くわす。
昼間の出来事のことを聞かれても答えないフッカーに殴りかかる。
「お前が昼間カモった男はロネガンの運び屋だ」
云われてフッカーは驚く。
ドイル・ロネガン ― ニューヨークの大ボスで知られる男。
フッカーたちは知らずに、組織の金に手を出してしまったのだ。
スナイダーは黙っていてやる代わりに金を要求。
フッカーが渋々金を渡すとスナイダーは姿を消した。
エリーは素朴な疑問をぶつける・・・
「お前、金は使い果たしたんだろ?」
だが確かにフッカーは金を渡した。一体どういうことなのか?
フッカーは刑事であるスナイダーにニセ札を渡したのだ。
これをきっかけに、フッカーは今まで以上にスナイダーから
執拗に追われることになるのだった・・・

何かを思い付いたようにフッカーは公衆電話に向って走り出した。
すでにロネガンが事実を知っているに違いない・・・
ルーサーの安否を確かめる為に電話をかけたが出る気配はない。
フッカーは急いでルーサーのアパートへ向うが、部屋に誰もいない。
倒されたテーブル横の窓が開いている。
顔を出したフッカーは、階下に倒れている男を見付けた。
ルーサーは誰かと争って突き落とされたらしく、すでに息はなかった。
エリーは「お前の身が危ない」と、急いで立ち去るようフッカーに告げる。
なす術もないフッカーは、ルーサーの遺体に後ろ髪引かれながらも
なんとかその場をあとにしたのだった・・・


· THE SET-UP ≪ おぜん立て ≫

ルーサーの復讐を誓ったフッカーは、ルーサーの親友ヘンリー・ゴンドーフ
を尋ねた。ゴンドーフは株の取引でフロリダの上院議員を騙したことで
FBIに追われ、売春宿に身を隠していたのだ。
フッカーの計画を聞いてもゴンドーフの表情は暗い。
敵がロネガンとなれば組織は大きく、政治家なども抱き込んでいるため
軽い返事はできない。だが、フッカーは「殺人は性に合わない」と
自分を一流に仕込むよう告げる。
対して、一人では無理があり軍資金も仲間も必要だとゴンドーフ。
ましてや標的はロネガン。金を騙し取った後々まで騙し通さなければ
ならず、金を奪った詐欺師を容赦なく殺す男が相手では、
冷静かつ慎重に事を運ばなければならない・・・
だが、ルーサーの弔い合戦となれば仲間はすぐに集まる。
ゴンドーフは決心してフッカーと共に行動を起こした。

手際良く仲間を召集するゴンドーフ。
彼の隠れ家へ集まり綿密な打ち合わせが始まった・・・

ロネガンはなかなか食えない人物で、酒も煙草も女もやらない。
勝てない勝負はやらないという男で、せいぜいカードを楽しむという。
唯一楽しむ賭け事はポーカー・・・しかもイカサマで楽しむ。
ただ場所がN.Y=シカゴ間を走る20世紀特急の車内と限られており、
賭け金も最低100ドルだという。
ゴンドーフは手始めに、そのポーカー賭博の仲間に入り
その後の大きな仕事へ繋げようと取り決めた。


· THE HOOK ≪ 釣り針 ≫

最終的に゛電信"という競馬賭博でロネガンへ復讐することを決めた
ゴンドーフは、その計画の為だけのノミ屋を構えた。
路地裏の地下空家を用意し、家具やらボードやらの設置、常連客を演じる
仲間などを集めて急ピッチでノミ屋を誕生させた。
仲間に準備を任せて、ゴンドーフとフッカーはロネガンがポーカー賭博を
する列車へ乗り込む。車掌に金を握らせ、まんまと仲間に入る。
ロネガンを油断させるため、酒を顔につけて酔った振りでテーブルに
ついたゴンドーフは、計画通り事を進めていった。

イカサマポーカーにはイカサマで対抗するゴンドーフ。
ロネガンは策にひっかかり金を巻き上げられてしまった。
ところがいざ払おうとすると財布が見つからない・・・
それもそのはず、賭博前にゴンドーフの仲間が財布をスッたのだから。
だが事情を知らないロネガンにゴンドーフは云う。
「後で仲間が金を取りに行くから用意しておけ」

金を取りに行くのはフッカー。
だが取りに行くのではなく、ロネガンの財布はゴンドーフが
奪い、実は自分はあの男を陥れてやりたいんだと話す。
それには自分一人ではできないから手を借りたいと申し出た。
今回の負け金を何十倍と上回る儲け話・・・
ロネガンは自分の儲けが出ることも計算した上で協力を受けてしまう。

まんまと話しに乗ったロネガンは、ゴンドーフやフッカーたちにとって
絶好のカモとなったのだった・・・

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FBI、スナイダー刑事、ロネガンの殺し屋・・・
いくつかの障害を抱えつつも、
≪ 詐欺師の敵討ちは詐欺で取る ≫
という信念のもと、ゴンドーフ、フッカーらの詐欺一団は
大掛かりな復讐戦をロネガンに叩きつける。

賭けの勝敗の行方は?!
本当に騙されたのは・・・?!


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って、こんな内容の映画ですが、結構有名な作品なので
題名だけでもご存知の方は多いのではないでしょうか(^^)?

ドンデン返しというか、意表をつかれることが多くて、
ボーっと見ていられないお話しです(笑)。
娯楽映画ではあるけれど気が抜けないっていうトコロが
この映画の魅力でもあるかなぁと思うu-tsuです。

≪釣り針≫の後には、THE TALE ≪うまい話し≫や
THE WIRE ≪わな≫、THE SHUT-OUT ≪完封≫と続き
THE STING ≪とどめの一撃≫で完結となっています。
こういう風に一つ一つの山場を区切りとして、
まるで本を読んでいるかのようにサブタイトルが付けられ
ているのですが、それが先の内容を暗示しているというか、
タイトルがあることによって更に物語りに入り込めるという
感覚が楽しくて、ドキドキわくわくな感情が盛上がります。

詐欺は犯罪だけど、彼らなりのポリシーっていうのが
観客には気持ち良く感じられるし、ホントにこんなので騙せるの?!
っていう新鮮な驚きが多くて、見ていて爽快なんですね。
現在の映画にはない新鮮さと驚き、見るものの気持ちを掴んで
離さない娯楽性と物語りの濃さ・・・
映画はこうでなくっちゃ!と思わせる要素がふんだんに盛り込まれて
いる、最高傑作だと感じられます。
ついこの間は「パイレーツ・オブ・カリビアン」をベタ誉めだった
u-tsuですが、映画という分野だけで見た場合には、
やっぱり「STING」の方が上かなぁと・・・
どちらも要素が違うし時代も違うから決め難いんですけどねぇ(ーーゞ

因みに、詐欺映画を見ているつもりが、騙されているのは
実は観客だったりしてます・・・u-tsuも、まんまとやられました(苦笑)

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【 希望配役 】
ヘンリー・ゴンドーフ・・・轟 悠
ジョニー・フッカー・・・・・湖月わたる
ドイル・ロネガン・・・・・安蘭けい
(ホントは夏美ようさんが希望だが花組だからムリ)
スナイダー刑事・・・・汐美真帆
エリー・・・・・・・・・麻園みき
ルーサー・・・・・汝鳥 伶

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で、この作品を是非とも、わたるくんの舞台で観たいなぁと。
希望配役は上記の通りです。
チンピラ詐欺の一歩手前のジョニー・フッカーがわたるくん(^^)。
甘いマスクのレッドフォードと違ってバリバリ系なわたるくんですが、
青年詐欺なお姿も観たいんです〜。
渋いニューマンのゴンドーフの方がお似合いかもしれないけど、
この役は轟さんが適役じゃないかなぁって。

ルーサーの復讐戦のリーダー的人物で、一流の詐欺師・・・
轟さんなら、わたるくんと名コンビ振りを見せてくれると確信できます。
やっぱり映画作品を舞台で上演するとなると、それなりの雰囲気って
大切だと思うので・・・映画と舞台でジャンルは違うけど、芝居っていう
項目は同じだと思うし。轟さん独特の雰囲気が役にも合ってるし。

ロネガンは大組織のボスということで希望は夏美ようさんなのですが、
花組にいらっしゃるのでムリ・・・で、どうせなら意外な配役の方が
面白さも増すかなと、安蘭さんで想像してみました。
安蘭さんは結構、なりきり役者っていう印象の方なので(笑)
思いきりボスを演じてくれるのではと思います。
ロネガンって意外と騙されやすい人みたいだし(^^)。
安蘭さんはその辺を上手く演じてくれそうだからね。

フッカーを執拗に追う刑事スナイダーは汐美さん。
イメージ的にピッタリな印象を受けましたので。
スナイダーはフッカーよりも立場が上と思い込んでいますが、
実は彼も騙され易いという(苦笑)。
フッカーを捕まえるっていうことしか考えていないので、
自分が騙されるという思考はこれっぽっちもないんですね。
彼は最後まで騙されっぱなしで終わるという立場の人で、
汐美さんなら個性的に演じてくれるのではないかと・・・

物語りの冒頭でスリ役を演じたエリーは麻園さん。
人の良さそうな気弱な外見だけど、実は結構な役者で
ゴンドーフが作ったインチキノミ屋の客に成りすまして
ロネガンから警戒心を解くという役割を果たしています。
一流の詐欺師とはいえないエリーですが、仲間を思う気持ちは
強く、影ながら努力する人物という印象です。

ルーサーはフッカーの師匠であり、一流詐欺師の中でも人望厚い
初老の男。親心でフッカーを育てたような印象があります。
残念ながらロネガンの殺し屋に命を奪われてしまいますが、
存在感は映画の終わりまで感じられますので、専科の方で
観たいなぁと。何故、汝鳥さんかというと、なんとなくルーサー役
の俳優さんから受けたイメージが汝鳥さんっぽいから(^^ゞ

他にも、この作戦を成功させるのに重要な役割を持つ
仲間がいっぱいいるのですが、さすがに全部は書けない・・・
作品自体はバウとか小ホール向きかなとも思うんですが、
場面転換などを考えたら大劇場の方が向いてるかなぁ。
希望は人数が多い本公演だけどねぇ。
ノミ屋とかを作っちゃうくらいだから、それに絡む仲間が多いし。
演出は正塚先生か、木村先生が希望かな。
正塚先生はちょっと作品が暗い印象だけど大人が楽しめるコミカル
さを知っているし、木村先生は古典的な演出だけど新鮮な手法を
上手く使える先生だし・・・お二人のどちらも、古き良き物を
作品の質を変えずに演出できると思うんですよね。
それに、わたるくんの大人な軽さを観るなら、
この「STING」は絶対にピッタリだと断言できちゃうっ。

今年はもう無理だけど、来年あたり舞台化してくれたら嬉しいな(^0^)

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