1/21ミユル堂針穴写真展搬入前日。
Kanaはまだ見せ方を決めあぐねていたのです。更に撮った写真を現像してもらう場所を間違えとんだ時間を食うことに(おのれビックカメラ(ポジサービス)有楽町店当日仕上がりはありませんだと?!)…直で堀内カラーに行っておけば良かった。そんな訳でKanaが選んだのは針穴写真をポジフィルム(スライドフィルムとも言います。ネガフィルムとは反対にフィルムにそのまま色のついている物でヒカリにかざすとフィルムの中に写真がいます。)で撮って、ライトビューアーとルーペで見ていただこう。という物。でもそれだけでは作品として成り立たないので壁にはそのフィルムのモノクロ版を紙焼きしたものを貼って、気になる物をスライドで見てもらおう。というコンセプト。生まれてはじめてのポジフィルムが針穴写真とはこは如何に?という自分ツッコミをしつつ。結構色が出たからよしとしよう。(ポジフィルムとか堀内とかは印刷屋さんにいたので若干の知識ありです。)
こういうものはコンセプトが決まっても、そこからが長くて苦しい物なのです。タイトルとか使い方説明とかイラレで作ってプリント断裁。フィルムを隠す箱を自作するでしょ(不器用なのが辛い)。スキャナ買って来てポジフィルムをスキャンしてモノクロの紙焼きデータ作成からプリント出し、断裁。壁に貼る為の両面テープ、ライトビューワーのための延長コードの買出し、ポジフィルムも自分でマウント(ポジフィルムをそのまま触ると痛むので一枚一枚切って専用のワクにはさむ作業)してみるでしょ。そんなことしているうちに…
1/22日付は変わり、さらに夕方遅くになんとか搬入。いざ搬入してみたら色々想定外で結局設置に1時間くらいかかって、ナントカ完了。
そのあと江古田に来ていたnukunukuさまとK嬢と晩御飯して「ホ〜」っと一息。この絶望週間の中の一服の清涼剤だわ。お二方サンクス。
帰り際K嬢に「これ明日までだよ」とミヒャエル・ゾーヴァの世界展の割引券を渡される。しまった忘れていた!!K嬢…いつもアンタいいトコつくぜ!!
1/23毎日広告賞搬入前日。
朝から銀座伊東屋に行く。先に件のゾーヴァを見ておくけれども午前なのに会場はすっごい人。Kanaはアメリで彼の絵を見てからのファン(詳細はまた)。伊東屋でのお目当ては、白い模造紙。菊全で一枚30円、あと、パネル張りする用のハレパネや小道具としての万年筆、原稿用紙等を物色、あたりをつける。部屋に戻り年末年始に買って置いた毎日新聞をぐしゃぐしゃにして模造紙の上に載せおもむろに撮影。Kanaのテーマは「岩波書店の広辞苑」
1本目は新聞見開きの大きさで「日々生まれ出る言葉」「集約される意味」「綴られる文字」の3つの文字と新聞が広辞苑に集約されていくイメージを作る。
たかだか3行の文字の組み合わせに3時間以上悩み、結局その日は朝4時までそれに悩む事に終始した。この作品はシリーズもので一つだけでは意味がないのに、よもや搬入当日にもう1作品を作ることになるとは…
1/24搬入当日
朝寝坊した。全力で銀座伊東屋に向かい普通のA1パネル(ハレパネは失敗すると危険なので)と満寿屋の原稿用紙
及びwatermanの万年筆
を購入。
更に電車で構想を固めた全7段サイズの単品「昨年の選挙の時 アナウンサーが 「しきゃく」と発音するたびに、顔が赤くなりました。(東京都 32才 主婦)」を部屋に戻り1時間で作成プリント出してパネルに貼ってパネルを切る。
時は既に1時30分
搬入期限は午後5時。
新聞見開きシリーズもの2本目の撮影
部屋を組み替え和風の机に広辞苑と原稿用紙、万年筆、本、タイプライター湯のみ、急須、藍染の敷物、照明などを置きデジカメで撮影…なかなかいい写真が撮れません。こんな時広角のGR-DIGITALを夢見るけど最早そんなお金もなし。
1本目が新聞から辞典に情報が集約される様を描いたけど
2本目は親から子へ手渡される知識、世代を超えて伝えてられてゆく文化という言葉で40年前の広辞苑が現役です、という写真を小道具と一緒に撮って見た。photoshopの照明効果のおかげで思いのほかいい写真になった。
とき既に3時30分。プリント出し開始。
ところが、夜のイメージで撮った写真を使っている所為か、プリントにすごく時間がかかる。A3一枚出るのに5分も10分もかかると新聞サイズが出るのに40分ですよ〜(A3が4枚で一組)
出す側から糊付けしてパネルに貼ってゆく。不器用なので辛い。一度失敗しかけたけど、極限の気持ちの中でナントカ切り抜けた。1回失敗したら多分間に合わない。つまり昨日からの作業が全部無駄に。久々に顔が熱くなりました。
何でこんなにぎりぎりなのか自問自答するけど先ほどのゾーヴァだって「ぎりぎりになると新聞なんか読みたくなる」と言っている。野球だって9回から白熱する。きっとそんなもんだ。と一人でぶつぶつ言ってみる。
Kanaの部屋から駅まで15分ソコから毎日新聞本社までなんと一駅!!パネルを切って包装して印刷の合間に書類を書いて最後のプリントアウトが出た!断裁糊付け貼り付けパネルを紙に沿って断裁、書類を貼り付けウチを飛び出せ!!
時は4時35分駅までダッシュ、後ろから来たタクシーを止め飛び乗る。地下鉄の駅まで下りる手間を省く為そのまま毎日新聞まで行ってもらう
4時53分毎日新聞社到着。恐れも知らず毎日新聞社に全力で駆け込む、フロントのお姉さんにデザイン賞の受付はドコと尋ねると「地下のホールだと答える」
4時57分毎日デザイン賞の受付到着…赤木博士風に「3分差で人類の勝利だわ」という言葉をリフレインが叫んでる(byユーミン)。←最早イミフメイ
……ってなんだかいっぱい人がいる。9回ウラの人はKanaだけではなかったらしい。5時を過ぎてもわんさか入ってくる。Kanaはきちっと書類とか用意して行ったけど、書類を現地で書いている人の多いこと。
そして 受付の後ろのホールには広大な机が広がり、その上に「ココはフランスのサロンか!!」ってくらい作品が平積みにされている。学生が多い。出展料が無料だからというのもあるだろう。
そしてKanaが驚いたのはみんなキンコーズとかに行って、新聞サイズのデータでも一枚の紙で出しているところ、きちっとしたパネル加工を施しているところ。Kanaみたいにお手製でA3を張り合わせて作っているような人はいなかった(涙)作品よりもその接合部が気になるよね…
でもね(ルー大柴風)Kanaざっくりな作りだけどね。感覚やセンスでは学生には負けないよ。そこいらのデザイナーにも負けないよ。自分の中では究極を作っているのよ。(Kanaなりの計算があって、新聞は開いた最初の瞬間は左側のページが目に入るからベースの言葉を左ページに持ってきて辞典とかタイトルを右ページに持ってくるとか、お約束の角度をそろえるとか)
そんな訳で、視力と資力と死力を尽くした闘いは終わりKana大満足で気が抜けたけど、ダメ。今日はこの勢いで東京ステーションギャラリーの「前田國男建築展」を見に行くのだ。時は5時30分。
膨大な量の資料と解説と模型。(これosanpoに入れます)
Kanaは7時閉館なので1時間30分をフルに使って廻ります。結構精神的に限界。ぎりぎりで全部を見尽くし、図録を買って帰ります。
最早精根尽き果てました。なんて濃ゆい4日間。写真現像とか買い物とか入れると一週間。疲れた。疲れ果てました。
そんなKanaを部屋で待ち構えていたのは…
空き巣じゃありません。やりっぱなしのKanaなのです。引き出しとかホントニあきっぱです。 手前の机が撮影用のもの。完成品からこれは想像できないでしょう。4日間片付けはおざなりでタダ制作していたので…
更にやりっぱなしの奥の部屋。断裁の後が生々しいです。室生犀星の書籍や主役のはずの広辞苑が無残に転がっています。
これを片付けるのか…これ以上ない疲れが倍増しました。
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