2002/8/12

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海辺の田舎の駅を降りる。笠岡という街だ。昔はカブトガニがいたのだそうだが絶滅して知った。街自身も風化していく印象がある。ヒトもまばらな駅からタクシーに乗る。海のほうにでる。笠岡湾をぐるりと回る。海の側は山の斜面になっていてソコにへばりつくように漁村があり墓がある。旧街道がその海辺の山にへばりついている街の中をジグザグに走っている。タクシーはその細い道をひた走る。湾の最深部は川の出口になっていて、街道は川に沿って海から内陸に入っていく。古い家並みが続く。その背後を丘のような山のようなものがやはり続いている。川に沿ったひたすらジグザグな古い町並みの一本道をタクシーはひた走る。

突然一本道が三叉になる。右を見たとたん、急に視界が広がる。ソコには山に囲まれた広大な田園風景が広がっている。ワタクシの祖母の家はその三叉路にある。

笠岡市吉浜。ソコがワタクシの古里。夕暮れ時、田んぼ用に水を溜め込んだ川がバシャバシャと音を立てている。煮魚の匂いがどこからかしてくる。寂れてバスもあんまり通らなくなった、お年寄りばかりの古い街だ。でもソコに行かなければ分からないなにかもある。

 

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